橋本順一の哲学

芸術、科学、哲学、政治、経済、健康、恋愛、娯楽など、様々な分野において、思いついたことを綴る「ひらめきエッセイ」です。

豊かさは、いろいろな顔ぶれから生まれる

 「腐敗」と「発酵」は、別の現象です。

 「腐敗」というのは、生体がほぼ一種類の微生物によって分解されることを指し、それに対し、「発酵」というのは、たくさんの微生物が生体の分解に関わることをいいます。

 腐った食べ物は口にできないけれど、発酵した食品なら美味しく食べることができます。

 豊かなものを作り上げるには、それだけ生産スタッフの顔ぶれがバラエティーに富んでいなければならない、というわけですね。

 メンバー構成の多様さこそが、豊かさの本質なのであります。

 つまり、多様であれば多様であるほど、エネルギーが大きい、といえるのです。

 物や人が活動するためには、エネルギーが要ります。もしエネルギーが乏しければ、物は動かないか、ヘンテコな動きをするかのどちらかになりましょう。

 ミクロ世界における物質の確率的な運動が、まさにそのケースです。エネルギーが乏しいから、動きがデタラメになっちゃうんです。

 逆にいえば、マクロ世界における物質の運動をすべて古典物理学で確定的に把握できるくらい、いま我々が暮らすこの世界はエネルギー豊かな所であるということを、その事例が物語っていることになります。要するに、動きがデタラメにならないだけでも大したもんなのだ、ということですね。

 それほどまでにマクロ世界は、エネルギーおよびメンバー構成がバラエティー豊かである、というわけです。

 さてね、そうだとするとね、国家というものを考えてみても、多様性のある国の方がそうでない方よりも豊かで強い、ということになりましょう。

 たとえば、アメリカは多民族国家であり、メンバー構成に多様性が認められます。

 それに対し、日本は単一民族の島国であるから、残念ながら、あまり多様性はありません。

 つまり、アメリカのほうが豊かで強い、といわざるをえないんですよね。

 国も、人も、物質も、多様性という荒波に揉まれてはじめて、強くなれるものなのです。

 異質なものや新しいものを排除しているようじゃ、成長できないのです。

 絆は、多ければ多いほど、自己を強く、豊かにしてくれるのであります。