橋本順一の哲学

芸術、科学、哲学、政治、経済、健康、恋愛、娯楽など、様々な分野において、思いついたことを綴る「ひらめきエッセイ」です。

38億年前のスープ

 「細胞は細胞からしか生まれない」というのが、細胞生物学上の定説です。

 それは、次のような実験を根拠としています。

 試験管の中に水を入れます。その中でいろいろなアミノ酸を混ぜ合わせてスープ状にし、電気ショックを与えたり紫外線を照射したりして、細胞になるかどうか、反応を見ます。

 そうした実験の結果、判ったのは、どうやっても人工的に細胞を作り出すことはできない、ということでした。

 つまり、「細胞は細胞からしか生まれない」というわけなのですね。

 「無」から、いきなり「有」を生み出すのは、人の手では無理である、ということが、上記の実験で判明したのでした。

 細胞が生まれるためには、生物から生物が生まれる、すなわち親から子が生まれる、というかたちでしか、実現されないのであります。

 さて、そうであるならね。いわゆるタイムマシンは、作れないことになりましょう。

 作ったとしても、タイムトラベルができません。

 なぜなら、その時代には、その時代に見合った「有機的構造」があるからです。

 つまり、その時代のメンバーじゃないとその時代のその世界を構成できないからなのです。

 たとえば、生物誕生以前の世界にタイムスリップしたくても、現代人がそこへ行けばよそ者なのであって、その時代には調和できないんですよね。

 だから、その時代の構成メンバーだとは認めてもらえない。ゆえに、タイムトラベルできない、とまあ、こういうことになるわけなのです。

 要するに、生物誕生以前の地球ってのは、生き物が存在しちゃいけない世界なんですよ。

 だから全く生物が誕生していなかったし、現代人もそこへ行っちゃいけない。

 そこは、そういう組成になっていない。

 逆にいえば、生物あるいは細胞が誕生したのはなぜかというと、誕生すべき時代へ入ったからだということになります。

 それが、およそ38億年前だといわれています。

 その時代になって、地球が、生物を生み出すうえで理想的な環境(組成)となり、また、生物を生み出す必要性のある星になった。

 だから生物が誕生した。

 そう考えてくると、「無」の状態からいきなり細胞が生まれることが可能なのは、その時代だけである、ということになりましょう。

 

 地球上に何の生命も存在していなかった、だけれど細胞が生まれるべき時が来た。

 だから、海の中で混ぜ合わさったアミノ酸のスープみたいなものに、太陽の紫外線だか雷だか判らないけれど、何らかの刺激が加わって、細胞の原型が出来上がり、やがて単細胞生物が誕生するに至った。

 

 その時代は、そうした「有機的構造」が細胞を生む環境として、最も相応しい実質を備えていた。

 だからこそ、そのタイミングで、細胞が誕生したのです。

 

 でも、現代は違います。

 現代はもう、生き物がたくさんいます。

 ゆえに、わざわざ試験管の中で新たな細胞を作る必要性など無いのです。

 人工的にこの世の構成員を作り出すことは、許されないんでしょうね。

 なぜなら、作っちゃったら、この世の組成が変わってしまうからです。

 だからこそ、いくら実験してみても、細胞を人の手でゼロから生み出すことは、できないのです。

 

 「細胞は細胞からしか生まれない」との定説は、正しいのであります。

 

 

 

 *************************************

 

 

 

 

 併せて、こちらの記事も、ご覧いただければ幸いかと思います。

 

hirameking.hatenablog.com