橋本順一の哲学

芸術、科学、哲学、政治、経済、健康、恋愛、娯楽など、様々な分野において、思いついたことを綴る「ひらめきエッセイ」です。

喧嘩両成敗

 他尊原理は、北条泰時*1が定めた御成敗式目*2における、「喧嘩両成敗」のルールとよく似ていると思います。

 どういうことかといいますとね。この世は有機的な構造から成っており、それを形成する各成員たちは、それぞれ相対的存在(未熟者)たることを余儀なくされています。

 したがって、生きとし生けるものすべてが、互いに尊重し合い、扶助し合いながら、共存共栄していくべきであるとの行動原理が導かれてくることになります(他尊原理)。

 そうであるなら、この掟を破る者が現れれば、全体の統率上、その者を消去しようとする作用力が働いて当然でありましょう。

 つまり、他尊義務を犯し、他者を不当に攻撃する者は、自然界から成敗され、抹殺される、ということになるのです。

 

 攻撃された側もダメージを受けるけれど、攻撃した側だって、やはり大きなダメージを受ける羽目になるのですね。

 

 これって、まさに❝喧嘩両成敗❞そのものなんですよね。

 

 だから、他尊原理と御成敗式目は、よく似ているのであります。

 

 日本の歴史上、このルールを破った為政者を1人挙げるとするなら、江戸幕府第5代将軍、徳川綱吉がそれに当てはまるでしょう。

 浅野内匠頭吉良上野介の争いに対して、一方的に浅野だけを処分し、吉良を擁護するという裁定を下したため、のちに赤穂浪士たちによる吉良邸討ち入りという大事件にまで発展させてしまったのです。

 このことによって、両家に仕える多くの武士たちが命を失う羽目になってしまいました。

 

 もし、将軍綱吉が公平な喧嘩両成敗の裁定を下していたなら(他尊原理に則した振る舞いをしていたなら)、このような悲劇は防げていた筈です。

 いや、それよりも以前に、もし吉良上野介浅野内匠頭に嫌がらせをしなかったなら(他尊的振る舞いをしていたなら)、やはりこのような悲劇には発展しなかったでありましょう。

 いや、それ以前に、もし浅野内匠頭吉良上野介に対して、気前よく赤穂の製塩技術を公開してあげていれば(他尊的振る舞いができていたなら)、やはりこのような悲劇は起こらなかったにちがいありません。

 

 このように、この世で暮らす生きとし生ける者すべては、他尊原理を遵守すべき義務があるのであり、その義務に違反した者は、喧嘩両成敗のルールに基づき、自然界から抹殺されてしまうのであります。

 

 他尊ルールを守らない者にとっては、この世とはそれほどまでに恐ろしいところなのですよ。

 

 しかし、その恐ろしさに気付かない人が、この世には結構多いというのもまた、紛れもない事実なのであります。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 併せて、こちらの記事も、お読みいただければ幸いです。

 

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*1:鎌倉幕府の第3代執権。

*2:幕府に仕える御家人たちのために、武士としての心構えを説いた法令集のことです。

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