橋本順一の哲学

芸術、科学、哲学、政治、経済、健康、恋愛、娯楽など、様々な分野において、思いついたことを綴る「ひらめきエッセイ」です。

発言効果は、❝倍返し❞だ!

 「口ぐせ理論」の提唱者である佐藤富雄博士は、こう説いておられます。

 

 「発言効果に人称は無い。」と。

 

 どういうことかといいますとね。言葉を発した人の脳が、誰に向けられた言葉なのかを問うことなく、効果を発してしまう、ということなのです。

 

 そう考えますとね。たとえば、A子さんがB子さんに対して、「綺麗ですね」と褒めたとすると、面白い現象が起きることになるでしょう。

 どういうことかっていうとね。

 日本人の文化には、謙譲の美徳という価値観があります。

 だから、褒められた人は、大抵、「そんなことないですよ~」と言ってしまうんですよね。

 つまり、A子さんがB子さんに向かって「綺麗ですね」と言った場合は、B子さんは「そんなことないですよ~」と、ついつい返してしまうケースが多いんです。

 ということは、です。

 A子さんは肯定語を発した。一方、B子さんは否定語を発した。そして、言葉というのは人称に関わりなく発言した本人の脳に効果を及ぼしてしまう、と述べましたよね。

 すると、A子さんの脳は「自分は綺麗だ」と信じ込むことになり、B子さんの脳は「自分はそんなことない」と信じ込むことになります。

 つまり、褒められたB子さんよりも、褒めたA子さんのほうが、「綺麗」を実現する、という結果になるのです。

 

 要するに、褒めた方が「得」をして、褒められた方は「損」をしたことになるのですね。日本の文化ではね。

 

 いってみりゃ、❝褒めるが勝ち❞というわけです。

 

 人を気前よく褒めることができる人は、その気前の良さゆえに、「得」をするのであります。

 

 一方、なかには、残念ながら、人を褒めたりなんかしたひにゃ自分が損をする、と信じ込んでいる人もいます。

 「人なんか褒めたって一文の得にもなりゃしない」と思っているのですね。いや、むしろ、労力の無駄であるとさえ、思っているのでしょう。

 でも、そういう人の脳は、発言による恩恵をまったく受けられないので、かえって「損」をすることになるのであります。

 そのうえ、そういう人は、そうしたエゴの厚い雲に行く手を阻まれて、自分が結果的に「損」をしてしまっていることに気付きません。

 ま、自業自得ってやつですけれど。

 

 ところが、それに対し、エゴイスティックじゃない人は、褒められて「そんなことない・・・」と一旦は言いつつも、「A子さんのほうこそ、綺麗じゃないですかぁ~」と返せるもんなのですね、自然にね。

 だから、この場合は、B子さんの脳にもきちんと肯定的な発言効果が及ぶので、結果的にB子さんも「得」をすることになります。

 A子さん、B子さんともに、「得」できるのです。

 

 双方がハッピーになり、誰も「損」をしない。

 これがいちばん理想的なパターンであるのはいうまでもありません。

 

 言った人間が「得」をする。

 肯定した人間が「得」をする。

 

 この世には、そういう仕組みが備わっているのです。

 

 さて、そうであるならね。たとえば私が、誰かから「あなたは天才*1だ」と言ってもらえたとしましょうか。

 この場合は、肯定するのが得策であるから、次のような返し方をすればよいことになりましょう。

 

 「僕が天才だとしたら、あなたは大天才ですよ~」と。

 

 こうすれば、発言というものに人称は無いのだから、相手に言った内容でも、自分の脳がそう信じ込むことになります。

 したがって、理論上、私の脳は、「自分は大天才だ」と思い込み、実際にそうなるように作動していくことになるのです。 

 

 要するに、誰かが自分を褒めてくれたときは、❝倍返し❞をしてあげればサイコーに「得」をする、ということですよ!

 

 これこそが、気前のいい人間、肯定的な人間の真骨頂だといえましょう。

 

 もし誰も褒めてくれなかったとしても、べつに困りはしません。

 他人がどうであれ、自分が人を尊重し、褒めてあげていればいいだけのことですからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:「天才」の定義については、こちらをご参照いただければ幸いです。

 

hirameking.hatenablog.com