橋本順一の哲学

芸術、科学、哲学、政治、経済、健康、恋愛、娯楽など、様々な分野において、思いついたことを綴る「ひらめきエッセイ」です。

バブルを弾けさせない秘訣

 景気というものは、そう簡単には生まれません。

 国や社会が発展途上にあるとき、どさくさに紛れて生まれる程度でしょう。

 社会的・経済的な発展が頭打ちになると、景気上昇はもはや期待できないと思っておいたほうがいいかもしれません。

 

 景気とは、或る意味、「バブル」なのです。

 

 何か産業(ビジネスモデル)が生まれて、儲かりそうな匂いが漂ってくると、人々はそこに一気に群がっていき、もうこれ以上何も出ない、というくらいまで、すべてを喰らい尽くす。

 すると今度は「バブル」がはじけて、一気に景気が悪くなり、人々は職を失う。

 人類の経済史は、基本的にその繰り返しにすぎません。

 

 人間は、我慢というものを知らないところがあります。

 判ってはいても、じっくりと漸次的に仕事を進め、一歩一歩豊かになってゆくという発想が、なかなかできません。

 

 一気に豊かになろうとする。

 

 だから、「バブル」を弾けさせてしまうんですね。

 

 たとえば、ベストセラー小説が1冊出たとしましょうか。すると、多方面から儲けの匂いを嗅ぎつけた人たちがいっぱい集まってきて、映画化してみたり、サイドストーリーを出してみたり、関連グッズを販売してみたりと、いろいろ周辺ビジネスを展開しようとするケースが多いですよね。

 これは、いってみれば「バブル」です。

 そこへ来て、そこからありったけの利用価値を絞り取り、もうこれ以上何も出ないというくらいすべてを吐き出させる。

 その結果、「バブル」が弾け、何もかもが水泡に帰することになるのです。

 いや、それだけならまだましなほうであり、ヘタすれば出版不況というオマケまでついてきてしまいかねません。

 

 それらは、人間のせっかちな欲望が引き寄せてしまった悲劇だといえましょう。

 

 もしも、「ステップ・バイ・ステップ」の考えのもとに、少しずつ少しずつ、豊かさを享受するやり方ができていたなら、かなり違った展開になっていた筈です。

 

 景気は、そう簡単には生まれません。

 人間のたゆまぬ努力の上に、ようやくひと握りの光明が射すという程度です。

 

 その流れに乗ることができた人は、幸福です。

 

 しかし、せっかく成功を掴み取りえたとしても、「ステップ・バイ・ステップ」の原則を踏み外してしまうなら、「バブル」を弾けさせてしまう羽目になります。

 

 大事なことは、慌てないということです。

 

 浮かれないということ。

 

 ちょっとくらい成功したからといって、油断してはいけないのです。

 

 一気に豊かになろうとするのではなく、一歩一歩着実にステップ・アップしていくことが、大事なのです。

 

 それこそが、「バブル」を弾けさせないための秘訣なのであります。