橋本順一の哲学

芸術、科学、哲学、政治、経済、健康、恋愛、娯楽など、様々な分野において、思いついたことを綴る「ひらめきエッセイ」です。

ノリツッコミ

 「ノリツッコミ」は、議院内閣制*1のようなものだと思います。

 大統領制*2のように役割分担が厳密に分かれてはいません。

 「ボケ」と「前振り」の間の境界線、および「ボケ」と「ツッコミ」の間の境界線が曖昧になっていて、くっきりと線引きされていないのですね。

 

 乱暴な言い方をするなら、相手のテリトリーに足を踏み入れるようなやり方なんですね、ノリツッコミはね。

 

 野球で喩えるなら、セカンドゴロを一塁手が捌いちゃうようなものです。

 或いは、長嶋茂雄さんが(三塁手なのに)ショートゴロを捌いちゃうみたいな、そんな感じですよね。

 

 こういうのは、きわめて日本的なやり方のような気がします。

 

 とすれば、欧米人のコメディアンは、もしかしたらノリツッコミが苦手かもしれません。

 

 なぜなら、「ボケ」なら「ボケ」、「ツッコミ」なら「ツッコミ」というふうに、役割分担がキッチリしているほうが、性格的に仕事がやりやすいように見受けられますからね、欧米人はね。

 

 相手がボケているのに、それを訂正することなく、一旦は乗っからなきゃならない。

 それは彼らにとっては、ひょっとすると苦痛かもしれません(まあ、そんなこともないでしょうけれど)。

 

 たとえば、物まねタレントでもないのに理不尽にも物まねを要求され、一旦それをやり掛けてから、「できねーよ!」と、突っ込む。

 「やったことねーよ!」

 「なんで、いま、やらせようとしたんだよ!」

 

 っていう、欧米人コメディアンって、あまりいないような気がするのですね。

 

 きわめて日本的な特徴があるからです。

 

 

 「ボケ」と「ツッコミ」の両方をこなせる、❝多能工❞のような技術が、「ノリツッコミ」である、というわけですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:国の統治システムに関しては、現代では三権分立型の機構が適していると考えられており、大きく分けるとそれは2種類のものがあります。一つが大統領制であり、もう一つが議院内閣制です。両者の違いは、立法府と行政府との間の線引きがどのようになされているか、という点にあります。大統領制においては、それは厳格に線引きされており、議院内閣制においては、それは緩やかに区別されています。すなわち、わが国のように議院内閣制を採用しているところでは、国会と内閣との間の区分けが曖昧になっているのです。なぜなら、総理大臣やその他の閣僚といった国務大臣は、憲法上、国会議員の中から選出される決まりになっているからです。彼らは、国会の構成員であると同時に、内閣の構成員でもあるわけですね。だから、両者間の線引きが曖昧になっているといえるのです。

*2:行政府のトップである大統領は、国民の中から直接選出されるので、立法府の構成員ではありません。その権力は完全に独立しています。

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