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橋本順一の哲学

芸術、科学、哲学、政治、経済、健康、恋愛、娯楽など、様々な分野において、思いついたことを綴る「ひらめきエッセイ」です。

新しい医療の幕開け

 トラック・ダウン理論は、将来的にはどのように発展していくでしょうか?


 おそらくは、オーダーメイド医療的なものに結実していくものと思われます。

 どういうことかっていいますとね。トラック・ダウン理論は、脳細胞と体細胞の連係の話です。脳から全身の体細胞へ、情報内容が電気信号に替えられて瞬時に焼き写されるメカニズムについて説明する理論であります。

 要するに、これは「情報刷新」についての理論なのですね。

 その際、過剰なトラック・ダウンが一定期間に亘り継続されると、体細胞のDNAが損傷し、細胞分裂の不具合(コピーミス)を惹き起こすものと考えられます。早い話、それが癌のメカニズムということです。

 ゆえに、トラック・ダウンを適正化してあげることで、癌は治るものと考えられるのです。


 トラック・ダウン理論は、近い将来、(これはほんの一例にすぎないのだけれど)とくに癌医療の分野で技術化され、応用されていくことが予想されるのですね。

 それで、人の体調というのは、生まれ持った遺伝的な特質や普段の生活習慣がどのようなものであるかによって、個人差が出てきます。

 ゆえに、病気や体調不良が現われる年齢、時期、部位などは、人によってさまざまであることになります。


 したがって、そうしたトラブルを解消するための治療方法も、個人個人の事例ごとに千差万別のものになっていってしかるべきでありましょう。


 そこに、オーダーメイド医療が発展していく基礎があるわけです。


 さて、ところでね。トラック・ダウンという現象は、脳の激しい興奮をきっかけとして、そこに格納されている最新の情報内容が、全身の神経を通じて瞬時に伝播していく原理を表わしています。

 先述したように、それには個人差があります。電気インパルスの発生頻度、強弱、時間帯などがどのようなものであるかによって、トラック・ダウンの内容も変わってきます。


 病巣が現われ出る部位や程度が人によって違うのは、まさにそのことに基づいているのですね。

 そもそも、脳内秩序(神経回路網)が、それぞれ全然違います。


 要するに、病名や患部の違いは何に基づいているかっていえば、それは脳内ネットワ一クおよびトラック・ダウンの内容に基づいているというわけですね。


 では、脳内秩序の理想的な形成をすぐに人為的にコントロールできるのかっていうと、それは難しいでしょう。
 残念ながら、それは一朝一夕には遣り繰りできることではありません。

 とはいえ、トラック・ダウンについてなら、意図的に制御することが可能です。

 先述したように、オーダーメイド医療の存立根拠はそこにあるわけだけれど、もし私のこの仮説が的中したとして、一般的に認知されていき、たくさんの癌患者の具体的なデータが集積されていくようになれば、経験則に基づいて、トラック・ダウンと病巣部位との間に一定の相関関係が認められるでありましょう。

 そして、それがやがて数値化されたなら、トラック・ダウンについての一覧表みたいなものも確立されていくでしょうし、人体をかたどった、癌についての“病巣マップ”みたいなものも出来てくる筈です。

 つまり、「身体のこの部位にこのくらいの症状が出たなら、トラック・ダウン刺激をこのくらいのレベルまで減らせばよい」というような感じで、デジタルに、治療の方向性を把握できるようになる、というわけですね。



 そうなれば、おそらく、癌医療は大きな変革を迎えるでありましょう。すなわち、現在主流である摘出手術、抗癌剤治療、放射線療法などは、徐々に廃れていくことが予想されるのですね。


 もしかしたら、そうなったなら、苦しいだけの闘病生活は、人類にとって過去のものとなるかもしれません。


 もちろん、それを待たずして、個人で任意に、アナログ的にトラック・ダウン刺激をセ一ブすることによっても、癌を予防したり回復させたりすることが十分に可能でありましょう。


 “トラック・ダウン医療”の売りは、どちらかというと、そっちでしょうからね。