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橋本順一の哲学

芸術、科学、哲学、政治、経済、健康、恋愛、娯楽など、様々な分野において、思いついたことを綴る「ひらめきエッセイ」です。

パラダイム転換

 長い歴史のなかで、人類の社会的・経済的な営みは、農業メインの時代が約3000年間続き、そのあと工業メインの時代が約300年間続き、そしてそのまたあとに情報産業の時代が約30年間続いてきて、今に至ります。


 農業や工業の時代においては、物品を生産することが仕事であり、ビジネスでした。物さえ作っていれば、人々は豊かな暮らしを手に入れることができていました。そして産業革命以後、そうした営みは機械化・自働化されることで、より発展していきました。

 その結果、大量生産、大量消費、大量廃棄の流れが本格化したのでした。

 人類は、それを解消するため、物品や製品などを在庫として店舗販売することをやめ、それらをインターネット上に情報化して格納することで、多品種少量生産、多品種少量販売のできる産業構造へと変えていったのでした。


 そうした時代の流れは、「量」→「質」、「物」→「情報」といったような図式で表わせるでありましょう。



 要するに、「かたちのあるもの」から「かたちのないもの」へと、人々の価値観がシフトしてきたのだといえましょう。



 それゆえ、物を作って売るだけでは、人々は豊かに暮らせなくなってきたのです。


 社会にとって有益な情報を生み出し、それを価値化することこそが、豊かさを実現する手段となりつつあるのです。


 さて、そうであるならね。癌医療においても、「かたちのあるもの」から「かたちのないもの」へと、テーマが変わっていくことになりましょう。


 この点、従来のメインであった外科手術、抗癌剤治療、放射線療法といったものは、癌細胞という「物」を標的とした対症療法であるといえましょう。

 それに対し、今後のビジョンは、癌という「現象」そのものに着目して、豊富な臨床データから導き出された「病巣マップ」や「トラックダウン・エネルギーの一覧表」というような情報化されたものが中心となっていくでしょう。



 まさに、「物」→「情報」へのパラダイム転換だといえましょう。



 医療の分野でも、そうしたパラダイムのシフトが行われることが予想されるのです。



 「物」から「情報」へ。「物質」から「エネルギー」へ。そして、「かたちのあるもの」から「かたちのないもの」へ。


 その流れは、確実に強まっていくでありましょう。

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